2012年03月29日

ふるさと

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山がある

川がある

海もある

でもそこにあった平凡な街はない

切り取られた古い写真の半分のように

カタカタと回る8ミリフィルムのように

心の中で永遠に回り続ける

あの山や海や川のような変わらない風景として

亡くなった人々がずっと笑い続ける

今はそれが私の故郷









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2012年03月25日

昔書いた童話

ライオンは明るい褐色の瞳を開き顔を上げてある方向の遠くを見ました
「この先に行くと人間の街がありその中央に大きな大きな王様の城がある そこの広い庭に一頭の象が飼われていて飢えることもなく働くこともなく暮らしているそうだ 時々王様を領地の検分に行くとき以外は庭で昼ねしているらしい 優雅なものだよ おなじジャングルで生まれたというのに こちらは毎日獲物を追って腹をすかしているのに 彼こそが一番の幸せものだ」
ソックスは言葉の多くの意味がわからず、首を傾げていましたがライオンが決して楽しい気持ちで話しているのではないと感じました。
お腹がすいているということはきっとそういうことなんだとも思いました。
「じゃあ僕行ってきます お城はこの先にあるんですね」
ソックスはお礼を言おうとライオンに向き直りましたが、大きな黄褐色の彼はゆっくりと体の向きを変えてあばら骨が浮き出そうな腹を見せながら去っていきました
ソックスはその姿を見送りそして白い靴下を履いた足で柔らかい地面をけり、ライオンが示した方向へ走ってジャングルの緑の中に消えていきました


濃い緑のジャングルを過ぎるとそこは大小雑多な二本足の生き物―人間の住む町に出ました。
建物と建物の間の道路には色々な人と、台車に積まれた商品や、吹き溜まりのごみや、人々の怒鳴り声とがごったになって、小さなソックスの目や鼻を痛めつけるようでした。
行き交う人々の足元を潜り抜ける彼を見る人も、気をとられる人は居ません。
ただ道に寝ているぐったりとした病人や、地べたに座ったままの子供の目が時々人間の足元を潜り抜けるソックスをはっとしたように、こちらを見つめましたが追いかけてくるものや、声を上げるものはありませんでした。
王様の城は高い白い城壁に囲まれて外からは中は見えませんでした
厚い板の扉と鉄格子で閉められた豪奢な城門には番人がいます
大きな体でいかめしそうな顔をして、槍をもった二人の片方の番人は門の前にとことことやってきた、黒い小さなうさぎに首をかしげました。
そしておびえる風もなくぴょんぴょんと跳ねて近づいてきて、後ろ足で立ち上がり足元で番人に声をかけました
「すみません この庭にいるという王様の象に会いたいんですが」
「お前はなんだ」
番人はさすがに鋭い刃先の槍を小さな踏み潰せそうな小さな黒いウサギに向けませんでしたが、いかめしい顔をますますいかめしくしていぶかしげにウサギを見下ろしました
ウサギはおびえる様子も泣く真っ黒な瞳をこちらに向けて返事を待っています
その首元に小さな銀色の輝きを見つけた番人ははっとしました。
それが神様の使いであることはこの国の住人ならよく知っていたので、槍先を向けなくて本当に良かったと思いました
対の番人が近づいてきましたが、やはりすぐに首の輝く星のような小さな飾りに気づいて一歩後に引き下がりました
声をかけられた最初の番人は一回つばを飲み込んでから言いました。
「お、王様の象なら・・・この中にいます どうぞ ここから」
後ろにさがったもう一人の番人が大きな鉄格子の門の脇についた小さな扉を開けてくれました。
「中に入って小さな白い砂利が敷いてある小道をまっすぐ行ってください そうすれば大きな緑色の建物があってそこに象がいますから」
うさぎはそれを聞いて耳をくるくると回すと軽く飛ぶように城壁の中へ入り、とんとんとジャンプをして優美に整った王様の庭園の置物や立ち木の庭の中を走っていってしまいました。
番人はその姿をじっと見つめてそれから少し青ざめた顔をそっと見合わせました。

ソックスは白い小道を走ってジャングルのような庭園の木々をくぐり、花々のかぐわしい香りをかぎながら奥へ奥へと進んでいきました。
まだ日は高く。木々の枝の間からまぶしい光が、道に敷かれた白い砂利をまるでお星様のように光らせます。
するとまもなく深い緑色の壁の覆われた大きな建物が現れました。
正面には金色の飾りを回りに施した大きな入り口がぽっかりと空いています。
奥は真っ暗です。
ソックスは外に立って声を出しました。
「王様の象がこちらに住んでいると聞きましたがいらっしゃいますか?」
そのちょっとキーキーした声が響いた真っ暗な家の中なら、大きな風が吹くような息遣いと堅い何かがゆっくりと引きづられる重い音が聞こえました。
大きな部屋の中から出てきたのは頭に赤と金の飾り布をつけた大きな耳と長い鼻を持った巨大な灰色の生き物 象でした。
「こんにちわ はじめまして」
象は足元の小さな生き物をそれからすると遥か高いところの小さなその目で見下ろしました。
「お前さんは神様の御使いだね」
「海のそばで名前とこの姿をもらいました。」
「そうか やっと来たか」
象は長い鼻を伸ばして豆粒のようなソックスのにおいを嗅ごうとしました。
見ると象の後ろ足には太い鎖がつけられて、それ以上は動けないようになっていたのです。
象は薄暗闇の中で長い鼻を揺らして深いため息のような大きな風のような音を立てて、だまって表の小さなウサギを見つめていました。
「驚いたな 御使いがこんなちいさな生き物だったなんて」
「僕を知ってるんですか?」
「この国には言い伝えがある 神様のしるしのある御使いが王の城を訪れるとき大きな災いがこの国にやってくるそうだ」
「そうなんですか? 僕は王様なんて知りませんよ 浜辺で男の人にこの世界を見ておいでと言われただけです 僕はジャングルの大きな牙の生えた獣からここにいるあなたなら世界で一番幸せだってきいたから来たんです」
象は低いけど遠いところまで響くといううなり声を上げながら、ソックスの言うことをじっと聞いてました。
「この国は王様の長い無能な執政と周りの愚者のおかげで長く人々は貧しく飢えて亡くなる者も多い しかし王は政治を律するどころか、親や兄弟子供など近親者を殺して自分の王位を守ることに熱心だった。 そして今では暗殺を恐れて外にも出ない おかげで私はこの有様だ。」
象は足につけられている太い金属の鎖を鳴らしました。
その音は部屋中に響いて消えました。
「あなたはお腹いっぱい食べられるんでしょう?」
無邪気なくらいのソックスの声が聞こえました。
「そうだな このおかげでお腹がすくこともないし寒くもないし危ない目にもあわない・・・しかし私はジャングルに戻って自由に生きてみたい。」
ソックスは首をかしげたまま立っています。


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posted by YUE at 20:48| Comment(2) | シロップ(ポエム・雑文) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月15日


同じ人や風景を見つめて 愛し 汗をかき 思いを寄せる者同士の

目に見えない共有する感情のひとはしを

絆というならそれはなんと儚く脆い


言葉だけなら

表記するだけならだれでも言える


言葉は魂に試され

魂は現実に試される


それを知らずに

それを亡くして

ただただ期待だけしてその手では何もしてないなら

簡単に絆という文字を使ってはいけない

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posted by YUE at 23:11| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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